後悔が減る!満足のいく結果を出せるようになる!行動経済学 [ノーベル経済学賞受賞者より]
今回はノーベル経済学賞受賞者であるダニエル・カーネマンの著書「thinking,fast and slow 上巻」から、意志に関する研究結果をご紹介したいと思います。
①自信過剰な思考をするわけ
人は皆自信過剰な思考を持っているとカーネマンは言っています。
誰もがやっている自信過剰な思考とはなんなのか、今から説明していきます。
みなさんは結果を知ってから、「こうなると知っていた!」や「ほら言っただろう!」と、あたかも未来を知っていたかのような言動をとったことはありませんか?
この言動こそが、自信過剰な思考からきているのです。
例えばある人が、「2008年の金融危機は避けられないことを事前に知っていた。」いう人がいるとする。(カーネマンは実際にこのような人を何人も見てきたという。)
彼らはもしかしたら危険があるかもしれないと思ったのかもしれない。
しかし、金融危機があると知っていた訳ではない。
「知る」という言葉は、普通知っていたことが真実であって、かつ真実だと示せる時だけに使えます。
そして、過去の理解の状況や過去に持っていた自分の意見を、正確に再構築出来ていないことがこの原因としてあげられます。
本書ではこれを、後知恵バイアスと呼んでいます。
後知恵バイアスの面白い例は他にもあります。
過去の対戦成績が拮抗しているチームAとBがサッカーの試合をしたとして、意外にも今回はAがBに圧勝したとしまう。そうすると私たちはAの方がBよりもずっと強いとその時は認識します。
これも後知恵バイアスで、過去の思考であるチームAとBが拮抗しているということを忘れて、Aがずっと強いと考えてしまっているからです。
②後知恵バイアスによる影響
後知恵バイアスがかかることにより、こんなところで問題が出てきてしまいます。
例えば医療の分野です。
リスクの低い外科手術の最中に予想外の事故が起きて、患者が亡くなってしまったとします。すると陪審員は、結果だけを考慮してしまいます。手術のリスクが実は高く、そのことを執刀医が把握していなければならないと。
しかし陪審員には後知恵バイアスがかかっていて、手術前の意思決定の評価が行われていないのです。決定を下した時点での判断をしなければならないはずなのに。
それにより、医者のみならず、大企業のCEOや政治家のような他人の代わりに決定を下すような人々の中で、後知恵で詮索されやすいと知っている人は、お役所的な役回りに走りがちになってしまい、リスクを取ることを嫌がってしまうようになります。
医者であれば、検査の回数を増やして、患者を専門医へ回すようになり、役立たない慣例通りの治療を施すようになっていまいます。なぜなら、医師の立場を守らなければならないからです。
③まとめ
今回ご紹介した自信過剰の思考は、過去の思考を結果を知ってから調整したり是正する、後知恵バイアスからきていたものだったのです。
そして後知恵バイアスによって結果にしか意識が向けられず、結果を予測した思考のプロセスが無視されてしまうのです。
これは私の経験にも思い当たるふしがあって、テストを落としてしまい後悔している時、結果しかみずになぜ落とすに至ったのか、その過程を忘れてしまいます。そこまで重要なテストではないと本当は思っていたのにも関わらず、周りが勉強をやっていたのでそれに合わせてなんとなくやっていた結果でした。
自分の行動の結果は結果までの思考のプロセスからきているものなので、結果に目を向けるのではなく、結果までの思考や行動の過程を見つめる必要があり、そこを見直すようにしてから私は後悔しないようになりました。
みなさんの中で後悔が多いという方は、結果をみるのではなくそのプロセスをみるようにすると、後知恵バイアスの歪みを修正することができるので、後悔が大きく減ると思いますよ。
それでは!!